――身体の内部に溜まる全エントロピー（entropy）
は、
――身体の持ち主にとっての“身体の外部における状態のエントロピー” S (t)
に等しく、
S (t) ＝ ∫ q (x; t)（− ln p (x, s; t)）dx
で表される――
と、いえる。
ただし――
q (x; t) は、身体の持ち主が、身体の外部における状態について、主観的に見積もる確率であり――
x は、身体の外部における状態を決める変数であり――
− ln p (x, s; t) は、身体の持ち主が、身体の外部における状態について、感覚器を通して察するエントロピーであり――
ln は、高校の数学で学ぶ自然対数であり――
s は、身体の感覚器が受け取る信号を決める変数であり――
定数の項は省くこととする。
ここで、
――精神の意義
を、
――情報
ないし、
――情報の量
という概念を用いて説き明かすのであれば――
――精神の意義
は、
――“身体の内部の全体情報”の書き換え
にある――
と、いえる。
が――
今は、あえて、
――情報
や、
――情報の量
という概念を用いぬ。
代わりに、
――エントロピー
という概念のみを用い、
――精神の意義
を説き明かす。
この時、
――精神の意義
は、
――“身体の内部に溜まる全エントロピー” S (t) の増減
にある――
と、いえる。
では――
その、
―― S (t) の増減
とは何か。
それを知るには――
どうすれば、よいか。
……
……
S (t) の微分を考えればよい。
今、
S (t) ＝ ∫ q (x; t)（− ln p (x, s; t)）dx
であるから、
d S (t) = ∫ ｛d q (x; t)（− ln p (x, s; t)）+ q (x; t) d（− ln p (x, s; t)）｝dx
である。
『随に――』
