――精神の意義
に関わる3つの“情報”、
――身体の外部の部分情報
――身体の内部の全体情報
――身体の内部の部分情報
の量を示す上で、身体の外部の状態のエントロピー(entropy)、
S (t) = ∫ q (x; t)(− ln p (x, s; t))dx
は、重要な役割を果たす。
ここでいう、
――精神の意義
とは、
――“身体の外部の部分情報”を受け入れ、“身体の内部の全体情報”を書き換えた上で、そのことを基に“身体の内部の部分情報”を生み出し、それを送り出すこと――
を指す。
身体が、時刻 t から時刻 t + Δt にかけて受け入れる、
――身体の外部の部分情報
の量 ΔI (t) は、
ΔI (t) = − Δ{∫ q (x; t)(− ln p (x, s; t))dx}
で表され――
身体が、時刻 0 から時刻 t にかけて受け入れる、
――身体の内部の全体情報
の量 I (t) は、
I (t) = − ∫ q (x; t)(− ln p (x, s; t))dx + C
で表される。
ただし――
Δ{∫ q (x; t)(− ln p (x, s; t))dx}
は、
∫ q ( x; t + Δt )(− ln p ( x, s; t + Δt ))dx
− ∫ q (x; t)(− ln p (x, s; t))dx
であり――
先頭の記号 Δ は差分――離散化をされた微分――を表す。
また――
q (x; t) は、身体の持ち主が、身体の外部の状態について、主観的に見積もる確率であり――
x は、身体の外部の状態を決める変数であり――
− ln p (x, s; t) は、身体の持ち主が感覚器を通して察するエントロピー(entorpy)であり――
ln は、高校の数学で学ぶ自然対数であり――
s は、身体の感覚器が受け取る信号を決める変数であり――
C は、定数である。
……
……
ここで――
身体が、時刻 t から時刻 t + Δt にかけて送り出す、
――身体の内部の部分情報
の量を考えよう。
これは――
いったい、どのような量なのか。
……
……
すぐに気がつくのは――
身体は、時刻 t から時刻 t + Δt にかけて受け入れる、
――身体の外部の部分情報
の全てを、時刻 t から時刻 t + Δt にかけて送り出すことが、できるのか――
との問いである。
答えは、
――否
だ。
なぜなら――
身体は、少なくとも q (x; t) に関わる情報だけは絶対に送り出すことができぬからである。
後刻――時刻 t + Δt から時刻 t + 2Δt にかけて――身体は、
――身体の外部の部分情報
を受け入れねばならぬ。
q (x; t) とは、身体の持ち主が、身体の外部の状態について、主観的に見積もる確率であった。
この q (x; t) に関わる情報の量は――
実は、簡単に判る。
− Δ{∫ q (x; t)(− ln q (x; t))dx}
である。
身体の外部の状態のエントロピー S (t) のうち、
− ln p (x, s; t)
を、
− ln q (x; t)
に置き換えた数式の差分だ。
身体が受け入れるのは、あくまでも − ln p (x, s; t) に関わる情報であるが――
それは、身体の持ち主にとっては、− ln q (x; t) に関わる情報である。
この情報を――
身体は、時刻 t + Δt から時刻 t + 2Δt にかけて、
――身体の外部の部分情報
を受け入れるのに備えるため、決して身体の外部へ送り出すことができぬ。
もし、送り出してしまえば、q (x; t) に関わる情報が失われ、
――身体の外部の部分情報
の量 ΔI (t) 、
− Δ{∫ q (x; t)(− ln p (x, s; t))dx}
を求められなくなる。
よって――
身体が、時刻 t から時刻 t + Δt にかけて身体の外部に送り出せる情報の量は――
身体が、時刻 t から時刻 t + Δt にかけて身体の内部に受け入れた情報の量 ΔI (t) のうち、q (x; t) に関わる情報の量を差し引いて残る量であるはずだ。
その“残る量”を ΔR (t) とすれば、
ΔR (t)
= ΔI (t) −[− Δ{∫ q (x; t)(− ln q (x; t))dx}]
= − Δ{∫ q (x; t)(− ln p (x, s; t))dx}
−[− Δ{∫ q (x; t)(− ln q (x; t))dx}]
= − Δ{∫ q (x; t)(− ln p (x, s; t))dx
− ∫ q (x; t)(− ln q (x; t))dx}
= − Δ{∫ q (x; t)(− ln p (x, s; t))
− q (x; t)(− ln q (x; t))dx}
= − Δ[∫ q (x; t){− ln p (x, s; t)
−(− ln q (x; t))}dx]
である。
この ΔR (t) こそ――
身体が、時刻 t から時刻 t + Δt にかけて送り出しうる、
――身体の内部の部分情報
の量の上限といえる
あえて差分の記号 Δ を用いずに表せば、
R ( t + Δt ) − R (t)
= ∫ q (x; t){− ln p (x, s; t)
−(− ln q (x; t))}dx
− ∫ q ( x; t + Δt ){− ln p ( x, s; t + Δt )
−(− ln q ( x; t + Δt ))}dx
もしくは、
R ( t + Δt ) − R (t)
= ∫{q (x; t)(− ln p (x, s; t))
− q ( x; t+Δt )(− ln p ( x, s; t + Δt ))}dx
− ∫{q (x; t)(− ln q (x; t))
− q ( x; t+Δt )(− ln q ( x; t + Δt ))}dx
となる。
『随に――』