マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

再び「精神の意義」へ(4)

 ――精神の意義

 は、

 ――“身体の内部の全体情報”の書き換え

 にある――

 といえる。

 

 もう少し精確にいえば、

 ――“身体の外部の部分情報”を受け入れ、“身体の内部の全体情報”を書き換えた上で、そのことを基に“身体の内部の部分情報”を生み出し、それを送り出すこと――

 である。

 

 これには3つの“情報”が関わる。

 

 ――身体の外部の部分情報

 ――身体の内部の全体情報

 ――身体の内部の部分情報

 の3つである。

 

 身体が、時刻 t から時刻 t + Δt にかけて受け入れる、

 ――身体の外部の部分情報

 の量 ΔI (t) は、

 

  ΔI (t)

  = ∫ q (x; t)(− ln p (x, s; t))dx

   − ∫ q ( x; t + Δt )(− ln p ( x, s; t + Δt ))dx

 

 で表される。

 

 一方――

 身体が、時刻 0 から時刻 t にかけて受け入れる、

 ――身体の内部の全体情報

 の量 I (t) は、

  I (t) = − ∫ q (x; t)(− ln p (x, s; t))dx + C

 で表される。

 

 ただし――

 q (x; t) は、身体の持ち主が、身体の外部の状態について、主観的に見積もる確率であり――

 x は、身体の外部の状態を決める変数であり――

 − ln p (x, s; t) は、身体の持ち主が感覚器を通して察するエントロピー(entorpy)であり――

 ln は、高校の数学で学ぶ自然対数であり――

 s は、身体の感覚器が受け取る信号を決める変数であり――

 C は、定数である。

 

 これまでに、

 ――精神の意義

 に関わる3つの“情報”のうち、

 ――身体の外部の部分情報

 と、

 ――身体の内部の全体情報

 とが揃った。

 

 残るは、

 ――身体の内部の部分情報

 である。

 

 ……

 

 ……

 

 ――身体の内部の部分情報

 の量とは――

 いったい、どのような量なのか。

 

 ……

 

 ……

 

 そのことを考える前に――

 今後の数式の把握を少しでも容易にするための準備をしておく。

 

 今、

 

  ΔI (t)

  = ∫ q (x; t)(− ln p (x, s; t))dx

   − ∫ q ( x; t + Δt )(− ln p ( x, s; t + Δt ))dx

 

 の右辺を、全く形式的に、

 

  ΔI (t)

  = − ∫ q ( x; t + Δt )(− ln p ( x, s; t + Δt ))dx

   −{− ∫ q (x; t)(− ln p (x, s; t))dx}

  ⇔ ΔI (t) = − Δ{− ∫ q (x; t)(− ln p (x, s; t))dx}

 

 と記す。

 

 その上で、

  I (t) = − ∫ q (x; t)(− ln p (x, s; t))dx + C

 と比較をすると――

 

 ΔI (t) は I (t) の差分になっていると判る。

 

 ここでいう、

 ――差分

 とは、

 ――微分の離散化

 のことである。

 

 いわゆる、

 ――微分

 では、

 ――極限の微小

 を考えるが――

 

 ――有限の微小

 を考えるのが、

 ――差分

 である。

 

 ――微小

 を、

 ――有限

 で考えることにより――

 数を、連続ではなく、離散で――とびとびの数として――扱いうる。

 

 ちなみに――

 I (t) の微分は、

   d I (t) = − d{− ∫ q (x; t)(− ln p (x, s; t))dx}

 と記す。

 

 I (t)、ΔI (t)、d I (t) を並べて記すと、

 

  I (t) = − ∫ q (x; t)(− ln p (x, s; t))dx + C

  ΔI (t) = − Δ{− ∫ q (x; t)(− ln p (x, s; t))dx}

  d I (t) = − d{− ∫ q (x; t)(− ln p (x, s; t))dx}

 

 である。

 

 この併記から判ることがある。

 

 それは――

 I (t)、ΔI (t)、d I (t) の本質は、

  ∫ q (x; t)(− ln p (x, s; t))dx

 という数式にある――

 ということだ。

 

 この数式は何を示していたか。

 

 身体の外部の状態のエントロピー(entropy)S (t) である。

 

 より精確には、

 ――身体の持ち主にとっての“身体の外部の状態のエントロピー”――

 である。

 

 ――精神の意義

 に関わる3つの“情報”、

 ――身体の外部の部分情報

 ――身体の内部の全体情報

 ――身体の内部の部分情報

 の量を示す上で、

  S (t) = ∫ q (x; t)(− ln p (x, s; t))dx

 は、重要な役割を果たす。

 

 『随に――』