自然界のある部分について――
ある時刻 t における状態のエントロピー(entropy)は――
その状態が実現をする確率 p (t) で、
− ln p (t)
と表される――ただし、ln は高校の数学で学ぶ自然対数である。
これに、
S (t)
と名前を付けることで――
判ることがある。
それは――
その状態は、確率 p (t) でエントロピー S (t) を持つに至った――
ということである。
当然ながら――
その状態は、他の値のエントロピーを持つ可能性も、あった。
今――
状態の実現が変数 x で決められる――
と考えよう。
例えば、
状態 A は x = a で実現をする――
状態 B は x = b で実現をする――
状態 C は x = c で実現をする――
:
状態 X は x = x で実現をする――
:
:
というように――
である。
この時――
状態のエントロピーは、時刻 t だけでなく、変数 x ――状態を決める変数 x ――の関数でもある――
といえる。
よって、状態のエントロピーは、
S (x, t) = − ln p (x, t)
と表される。
ここで、
p (x, t)
は――
その状態が実現をする確率である。
状態のエントロピーが、時刻 t の関数だけでなく、変数 x の関数でもあるのなら――
その状態が実現をする確率も、時刻 t だけでなく、変数 x の関数であるはずだ。
ここで、p (x, t) について、x の全範囲で積分をすると、答えは 1 である。
つまり、
∫ p (x; t) dx = 1
である――時刻 t において、状態は必ず何らかの形で実現をするはずだからである。
この時――
ある状態が実現をする前に、その状態が持つと期待をされるエントロピーは――
先ほどと同様の計算で求められる。
いわゆる期待値の計算である。
具体的には、
∫ p (x; t) S (x; t) dx
= ∫ p (x; t)(− ln p (x; t))dx
である。
実は――
これまでに扱ってきたエントロピー S (t) は――
これであった。
つまり、
S (t)
= ∫ p (x; t) S (x; t) dx
= ∫ p (x; t)(− ln p (x; t))dx
である。
ここで、p (x, t) や S (x, t) を、p (x; t) や S (x; t) と記すのは――
この積分では x を変数とみて、t を媒介変数とみていることを受けている。
『随に――』