マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

情報理論・通信理論のエントロピーにとっての「散逸構造」

 ――散逸構造(dissipative structure)

 の概念は――

 20世紀ベルギーの理論科学者・物理学者イリヤ・プリゴジン(Ilya Prigogine)によって提唱をされた。

 

 その概念が関わる理論によって――

 プリゴジンは、1977年にノーベル化学賞を受けている。

 

 ――散逸構造

 の概念をごく簡単にいえば、

 ――自然界のある部分にエネルギー(energy)が流れる時に、その流れに晒される物質が自然界の応答として自発的に形成をする何らかの構造

 となる。

 

 その構造を流れ抜けることで――

 エネルギーは周辺に向かって撒き散らされる。

 

 エネルギーの質のようなものが、

 ――エントロピー(entropy)

 である。

 

 エネルギーの質が高ければ、仕事として取り出され易い。

 

 その時――

 そのエネルギーが帯びているエントロピーは少ない。

 

 一方――

 エネルギーの質が低ければ、仕事として取り出され難い。

 

 その時――

 そのエネルギーが帯びているエントロピーは多い。

 

 撒き散らされるエネルギーが帯びている熱力学・統計力学エントロピーは――

 その部分に流れ込んだエネルギーが帯びていた熱力学・統計力学エントロピーよりも多い。

 

 つまり――

 熱力学・統計力学エントロピーは、

 ――散逸構造

 を流れ抜ける時に、増える。

 

 その増え方が極小となるように、

 ――散逸構造

 は形成をされる。

 

 それゆえに、

 ――散逸構造

 の内部に溜まる熱力学・統計力学エントロピーは、増えにくくなる。

 

 そのように考えられる。

 

 では――

 

 ……

 

 ……

 

 同じようなことが――

 情報理論・通信理論のエントロピーにもいえるのか否か。

 

 つまり――

 熱力学・統計力学エントロピーにとっての、

 ――散逸構造

 のような概念が――

 情報理論・通信理論のエントロピーにとっても存在をしうるのか。

 

 ……

 

 ……

 

 十分に存在をしうるであろう。

 

 熱力学・統計力学エントロピーと――

 情報理論・通信理論のエントロピーと――

 異なるのは比例定数のみだ。

 

 これら2つの「エントロピー」の相同性を踏まえれば――

 むしろ、

 (存在をしえぬはずがない)

 と思う。

 

 『随に――』