心理学に弱みがあれば――
当然のことながら――
強みもある。
それは、
――精神の意義
に正面から向き合いやすい――
ということだ。
……
……
――精神の意義
それは――
心理学では、
――心理の本態
と呼ぶべきかもしれぬ。
――心理の本態
とは、
――心理の正常の在り方
である。
その在り方をつぶさに観ていこうとする――
そうした正当的な姿勢を――
心理学では――
保ちやすい。
こうした姿勢は、
――精神とは何か。
――心理とは何か。
といった幼子(おさなご)でも抱きうる疑問の核心を――
常に思い起こさせてくれる。
いかなる学者・研究者も――
自分の仕事の内容は――
幼子にも面白く感じられるように、易しく語りかけられねばならぬ。
それができぬ学者・研究者は――
自分の仕事の内容を――
本当の意味では理解をしていない。
心理学には――
そうした学者・研究者としての初心を――
忘れずに済む土壌がある。
『随に――』