先週の土曜の夜は――
義弟と2人で酒を飲みました。
岡山でのことです。
実は、土曜・日曜と岡山の母のところにいたのですね。
*
「義弟」というのは、妹の夫です。
他に適当な言葉が見当たらなかったので用いましたが――
実は、この「義弟」という言葉、あまり使いたくはないのですね。
不必要な上下関係を生じさせるようで嫌なのです。
歳は僕よりも2つ下なのですが、32歳と30歳とですからね。
ほとんど違いはありません。
向こうは、僕を、
――お義兄(にい)さん
と呼んで立ててくれるのですが――
まさか、
――おう、義弟(おとうと)よ。
などと応じるわけにはいきません。
ふつうに、姓に「さん」を付けて呼んでいます。
なるべく対等な関係でいたいと思っているのです。
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2人だけで、ゆっくり酒を飲んだのは初めてのことでした。
本音の話ができましたね。
とくに仕事の話は、かなりの本音でした。
義弟は整形外科医です。
僕と違い、真面目に医者をやっています。
医者の世界の話なら、僕も知らないわけではありませんので――
それなりに共感をもって、きくことができます。
逆も、また然りのようです。
僕が文筆に転向したといったら、驚いていましたが――
義弟も、国文学や歴史学に関心があるようですから、気質的には僕と近いのかもしれません。
ま、妹が選んだ男性ですからね。
もちろん――
僕の知らない妹の話などもしてくれました。
逆に、僕しか知らない妹の話もしました。
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まことに不思議な関係です。
互いに相手を認め合った上で、友好関係を結んだわけではありません。
最初は全く形式的で虚構的な繋がりにすぎなかったのですから――
ある意味、とても人間的で社会的な関係だといえます。