――ほぼ絶望
だったはずです。
それが一転しました。
勝負は最後までわかりませんね。
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のことです。
2次リーグでアメリカ、韓国に敗れ、1勝2敗で終わった日本が、失点率の差で、奇跡的に準決勝進出を決めました。
今日の試合でアメリカがメキシコに敗れたためです。日本は一昨日の試合でメキシコを大差でくだしていたために、首の皮一枚でつながりました。
昨夜、ネットでWBC関連の掲示板などを巡っていたら――
凄かったのですね――日本代表への誹謗中傷が――
――王監督の采配はヘンだ!
だの、
――今江のヘタクソ!
だの、
――岩村、ちゃんと走れ!
だの――
僕も、そうした声に同調したい気持ちでした。
(しっかりしてくれよ)
という感じです。
が、アメリカ在住のTedが意外なことを述べました。
――どうしても今回の日本代表を責める気にはならないんだよね。
というのです。
Tedは準決勝の舞台サンディエゴに住んでいます。
チケットも買っていたそうです。もちろん、日本が勝ち上がってくることを期待して――
が、昨日、韓国に敗れ、その可能性は限りなくゼロに近づきました。
だから、僕が、けしかけたのです。
――もっと怒ったらいいじゃないか。
と――
その返答が、
――どうしても責める気になれない。
でした。
それで――
ハッとしたのです。
(そうか)
と思いました。
落ち着いて考えてみると――
僕らが、
――ニッポン、不甲斐ねえ!
などといっていられるのは、自国でノンキにTVをみていたからです。
アメリカで毎日アメリカ人に囲まれて生活している日本人にとって、そうした僕らの直情は、あまりにも遠くに感じられたに違いありません。
たしかに、日本はミスをしました。
それで負けた――
が、どんなプロでもミスはするのです。
今回は、ミスをしなかった韓国が素晴らしいのであり、ミスをした日本を激しく糾弾するのは、ちょっと非人間的すぎる気がします。
スポーツは戦争ではありません。
みるほうも、やるほうも、人間性を失ったらおしまいだと思うのです。