寒い夜空の桜が嫌いではありません。
むしろ好き――
仙台の4月の夜は、まだまだ寒いのです。
やや厚手のコートでないと辛いくらい――
そんな夜――
街灯の明かりに照らされて、白く輝く桜には――
格別の趣があります。
コートのポケットに両手を突っ込み――
吐く息が白くなるのを目にしながら――
白桃色の夜桜を振り仰ぐ――
酒も肴もない――
ただ頭上を仰ぎ見るだけのお花見です。
バカに地味で寂しげな花見かもしれませんが――
いいんですよ。
花見とは、花を見るためのものですから――
ここ数年――
花見は、寒い夜に一人で散歩しながら――と、決めております。
僅かな時間に色々な思いが巡らせて、なかなかに味わいがありますよ。