マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

桜の色が妙に眩しく

 近年、お年寄りたちが、桜をみて思わず嘆息をもらされる御様子に、しばしば遭遇します。

 ――今年も桜をみることができた。

 と、皆さん、口を揃えていっておられる。

 もちろん――
 近年のお年寄りたちが、皆さんで申し合わせて一斉に桜を嘆じ始めたわけではないでしょう。

 桜を嘆じるお年寄りたちの姿は、今も昔も決して珍しくはないはずです。

 変わったのは僕でしょう。
 桜を嘆じるお年寄りたちの御様子に、注意が向くようになったということです。

 考えてみれば――
 お年寄りだけではないのですよね。

 10代、20代の若い人たちだって、僕ら30代だって――
 来年、もう一度、この桜をみられる保証は、どこにもないのです。

 人の命は間単なことで失われます。

     *

 仙台は、まだ桜が見頃です。
 自宅の近所には、桜が満開に咲き誇っています。

 今日その下を、ゆっくりと歩いてみました。

 桜の色が妙に眩しく感じられます。