高校生に大学受験指導をしていて、よく訊かれることの一つに、
――僕(私)には集中力がないんです。どうしたらいいでしょう?
というものがあります。
昔は、色々なアドバイスをしたものです。
――机の上を整理しろ、勉強に関するものだけを置け。
とか、
――大学に受かった自分、落ちた自分を想像してみろ。
とか――
今は、そういうアドバイスはやりません。
これは、大学受験に限らず、仕事全般にいえることだと考えているのですが――
集中力の有無というものは、仕事の最終的な成果には関係しないと思っています。
集中力がない人でも、素晴らしい仕事をする人は、たくさんいるのです。
集中力は補助的な役割しか果たしていないと感じます。
たしかに、集中力に優れている人は、効率はよい――同じ仕事を、より短時間で片付けられます。
が、私の知る限り、仕事の質は、これとは無関係です。
最終的な成果を決めるのは、最後まで諦めない意志の強さです。
集中力が途切れても、その都度、復活させようとする継続の意志です。
もちろん、どちらが得かいわれれば、困ってしまいます。
集中力が1時間はもつ人と10分すらもたない人とでは、精神疲労が違うでしょう。
10分すらもたない人は損をしているかもしれません。
でも、それは仕方のないことです。
人の個性の一部です。否定しても始まりません。
だから――
今の僕は、こうアドバイスします。
――集中力がなくてもいいじゃない。ちょっと休んで、また集中しようよ。
と――
――集中力が途切れることを嘆くより、何度でも集中力を復活させる意志を持とうよ。
と――
こういうと、ホッと安堵してくれる生徒さんは、決して少なくないのですね。
当面は、このようなアドバイスを心掛けようと思っています。