(面白い小説を書くなあ!)
と思った人の随筆は面白く、
(つまらない小説を書くなあ!)
と思った人の随筆はつまらない――
そういう気がします。
売れているか売れていないかは、あんまり関係ないのですね。
自分が面白いと思うか、つまらないと思うか――それだけが重要のようです。
少なくとも僕の場合は――
実際、
(つまらない小説を書くなあ!)
と思う人で、かなり売れているらしい人がいます。
以上のことを思うとき、
(やっぱり小説はパーソナルなものなんだな)
と思います。
その小説が性に合うか合わないかは、ある特定の人が性に合うか合わないかと同じくらい、不可思議な因果で、決まっている気がします。
合わないときは、とことん合いませんからね。
本当に――
小説には、それを書いた人の個性が、否応なく滲み出るのだと思います。
だから、小説書きは――
どういう個性か、で勝負をかけても無駄なのです。
どういう風に個性をみせるか、で勝負をかけなくてはならないのです。