マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

科学家

 ――科学家

 と呼ばれる人々がいてもいいのではないかと思っております。

 ――歴史家

 といいますね。
 歴史学者に対し、歴史家です。

 歴史学者は、史料を基に歴史を究めます。
 歴史の中に新たな知見を見いだすのが歴史学者の仕事です。

 歴史家は少し違います。歴史学者たちが明らかにした知見を基に歴史を語ります。
 歴史の流れをとらえ、歴史の意味をよみとき、現代人に新たな洞察をもたらすのが歴史家の仕事です。

 もちろん、ことは、そう単純ではありません。
 歴史学者の多くが歴史家を兼ねていたり、歴史家の多くが作家であったりします。

 が、歴史の場合、「歴史学者」と「歴史家」という風に、2つの言葉が存在することで、事情がわかりやすくなっていると思うのです。

 科学にも同じことがいえはしないでしょうか。

 科学の歴史学者が科学者です。
 歴史家に相当するのが、

 ――科学家

 です。

 科学者は自然の中に新たな知見を見いだします。
 科学家は、科学者たちが明らかにした知見を基に自然を語ります。自然の振る舞いや有り様を活き活きと語るのです。

 自然を語るのですから、「科学家」というよりは「自然家」と呼ぶほうが適切かもしれません。

 自然科学者に、自然家ですね。

     *

 今日――
 科学の細分化・断片化が問題視されています。

 根の深い問題です。

 が、科学家と呼ばれる人々が登場し、科学を構造化・統合化していけば、解決されうる問題かもしれません。

 また――
 科学家が科学を活き活きと語れば、科学が多くの人にとって身近な営みになるかもしれませんね。