高校生が学ぶべきことというのは何なのでしょうね。
最近、それがわからなくなりました。
小・中学生ならわかるのです。
義務教育ですから――
この国で幸せに生きていくために必要な教養を身に付けてもらえばいい――
もちろん、小・中学生の学習内容の全てが、それで説明できるわけではありませんが、
――義務教育
という題目は、かなり強力です。
教師が教育指針に迷うことは少ないように思います。
が、高校生はどうか――
高校生の学習内容は、
――この国で幸せに生きていくために――
では説明できないようなものが大半です。
例えば、2の平方根が無理数であることの証明など、必要とはいえませんよね、この国で幸せに生きていくためにはーー
もちろん、必要ないともいえません。
どちらでもいい――
そういうものを、全ての高校生に学ばせる意義は、どこにあるのか――
高校生が学びたがるなら、わかるのです。
学びたいものは学ばせる――そこに理屈は不要です。
が、とくに学びたがらない高校生に学ばせるのは、どうでしょうか。
そこに何か意味はあるでしょうか。
もちろん、
――2の平方根が無理数であることの証明
を学びたがらせるためには、相応の準備が必要です。
平方根という概念に関心をもち、無理数という概念に関心をもち、証明という手続きに関心をもってもらう必要があります。
そのための努力を、教師は最大限に払ったとして――では、なぜ全てに高校生に、
――2の平方根が無理数であることの証明
を学ばせる必要があるのか――
学歴社会を勝ち抜くためか――
*
どうも――
出発点が間違っている気がします。
本当は、学ばせる必要はない――
学びたくないなら学ばなくていい――
そうやって突き放す態度こそが大切なのではないか――
義務教育ではない教育とは、そういうものだと思うのです。