恋は勘違いで始まると考えている。
この場合――
どちらかが勘違いをしなければ、事態はバッドエンドで終わる。
「失恋」という名のバッドエンドだ。
また――
どちらも勘違いをしていれば、事態はハッピーエンドで終わる。
とりあえずのハッピーエンドだ。カッコ付きのハッピーエンドに違いない。
こんなことを書くと、
――つまらないヤツだ。
とか、
――皮肉屋だ。
とか、
――虚無的な男め。
とか、いわれるかもしれない。
が、これが正直な実感だ。
正直に感じるものは仕方あるまい。そういうものと思って受け入れるしかない。
恋は勘違いである。
どうせ勘違いなら、素敵な勘違いがよい。
本当は勘違いをしていないのに、さも勘違いをしているかのように振る舞うのは、浅慮というものだ。
勘違いの振りをしていたら、いつの間にか、本当に勘違いしてしまったというのも、浅慮である。
恋は勘違いである。
最初から最後まで徹底的に勘違いし通すのがよい。