女性の中の「女(おんな)」性――
これほど厄介なものはない。
だから、僕は恋が嫌いなのだ。
*
何の話か。
――男にとって、「女性」と「女」とは別物だ。
という話である。
*
男が女性の中に「女」を見出すとき――
男は女性の人間性を消去する。
男にとっての「女」とは人ではない。
人以上の何か――である。
女性の中に「人以上の何か」を見出して――
男は女性に恋をする。
もちろん――
この世の全ての女性は人である。
当然である。
が――
男は、しばしば、その事実を失念する。
失念することで、女性の中に「女」性を立ち上がらせる。
だから、恋は厄介だ。
できることなら――
恋から自由な身でいたい。