マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

生殖欲求は低俗か高尚か

  恋 ≒ 生殖欲求

 の図式のもとで、

 ――恋は体の触れ合いを度外視できない。

 ということを――
 きのうの『道草日記』で述べました。

 思いっきり簡単にいってしまえば、

 ――恋は体のこと――

 ということです。

 ……

 ……

 この言葉――

 見方によっては――
 恋のことを低め、体のことを高めます。

 ――恋は、体の事情にもとづく下等な感情にすぎない。

 と侮蔑できる一方、

 ――体があって初めて、人は素晴らしい恋を体験できる。

 と称揚できるのです。

 あるいは――

 虚構の物語などで――
 交際中の男から別れ話を切り出され、

 ――はじめから体だけが目的だったのね。

 といって泣く女性の姿が――
 しばしば紋切り型に描かれますが――

 そんな姿でさえ――
 見方を変えたら、

 ――本気で私に恋をしたのは本当なのね。

 といって泣く女性の姿と――
 本質的には同じなのです。

 ……

 ……

 生殖欲求の話というのは――

 「体」という言葉を持ち出せば、低俗となり――
 「恋」という言葉を持ち出せば、高尚となるようなところがあります。

 これを上手に語るのは――
 なかなかに厄介です。