8月26日の『道草日記』で、
――冥王星が惑星から除外されたことで、宇宙活劇のロマンが傷つけられた、などと主張するのは見苦しい。
といった内容のことを書いた。
現に、そう主張された作家さんがいると、きいていたからである。
御自分の作品の幾つかで、冥王星を太陽系の最果てとして、描かれている。
ところが――
それら作品では、冥王星が月よりも小さな惑星であるということが、十分に考慮されていなかったように思う。
(ちょっと、まずいだろう)
と思った。
もちろん、それら作品に関する僕の記憶が、正しければの話だが――
*
人のことはいえぬ。
何を隠そう――この僕も、似たような過ちをおかしている。
高校時代のことである。
宇宙活劇に冥王星を描いたことがあった――しかも、かなり大きな惑星として――
当時、冥王星は、海王星と地球との中間くらいだと思っていた。
実際は、前述の通りである。
月よりも小さい。
当時、参考にした『理科年表』(国立天文台編)を引っ張りだしてみた。
昭和64年の『理科年表』である。
もちろん、そこには、ちゃんと書いてある。
冥王星の赤道半径は、
――1210 (?) km
であり、月の赤道半径は、
――1728 km
である。
いったい、どこをみていたのか――
実は――
みていたのは、軌道長半径であった。
地球から、どれくらい遠いのか――ばかりを気にしていた記憶がある。
迂闊であった。
――冥王星は惑星だ。
というから――
まさか月よりも小さい天体だったとは、夢にも思わなかった。
――宇宙活劇のロマンが傷付く。
などとは、口が裂けてもいえぬ。