マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

「姉」の色気

 夕方、コンビニに入ったら――
 鮮やかな濃青のTシャツを着て、少し色褪せたブルージーンズをはいた女性が、野球帽をかぶった小学生くらいの男の子を連れて、レジの前に立っていた。

 まさか親子ではあるまいと思って、それとなく女性の顔を覗き込んでみたら、ほんの高校生くらいの顔立である。

(いよいよ親子ではない)
 と思って――それでも二人の様子が気になって――
 しばらく、二人を視線で追いかけてみた。

 二人は、どちらからともなく話しかけ、

 ――どっちから帰る?

 ――こっちからにしよう。

 みたいな会話を交わしつつ――
 仲良く自転車を並べ、その場を後にしていった。

 姉弟だろうか。
 その割には、ちょっと歳が離れているような――

 季節がら、従姉弟かもしれぬ。
 例えば、どちらかの親が実家に帰省中とか――

     *

 子供の頃から、姉・弟関係が気になっている。
 だから、よく小説にも登場させる。

 実生活では兄・妹関係なので、こちらは、まず描く気がせぬ。
 もし描いたら、酷く生々しいものになりそうだ。

 ところが、姉・弟関係は、よくわらぬ。

 よくわからぬから、好き勝手に書ける。
 想像や創造の素材に事欠かぬ。

 姉は、母とは違う。
 姉が弟を、息子を思うように思うのは、不可能であろう。

 が、ごくまれに、そう思わんと意気込む姉がいる。
 背伸びの様子が妙に痛々しい。

 そういう姉をみかける度に、色気を感じる。「姉」の色気である。
 姉が年若であればあるほどに、色気は強い。

 よくわからぬ好みだと、自分でも思う。