一昨日から岡山にきている。
母が一人で暮らしているので、ときどき、仙台から出かけていく。
仙台と岡山とを行ったり来たりしていると、ずいぶん日本列島が狭く感じられるのだが――
最近は、それがマヤカシだと気付いた。
たしかに、仙台・岡山間の移動は苦にならぬ。
だから、しょっちゅう行き来できる。
途中で寄れるところも同様だ。
東京、名古屋、京都、大阪――仙台・岡山ラインの中途は、どこも遠くには感じぬ。
が、このラインを少しでも踏み出すと、遠い。
水戸や前橋、新潟や金沢、長野や甲府――どれも遠い。
「遠い」というのは、気分的に遠いのだ。
例えば、仙台・水戸間の距離は、仙台・岡山間の距離に比べれば、明らかに短い。
が、僕の体感距離では、仙台・水戸間のほうが、はるかに長いのだ。
僕は水戸にいったことがない。
水戸が遠くに感じられるのは、そのために違いない。
もし、僕が自分の体感距離に従って日本列島の地図を描くとすると――
かなり、イビツな形になるに違いない。
いったことのない地方には、広大な沃野が開けている。