マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

答えを決めずに書き始める

 今日、近所のコンビニのレジに並んでいたら――
 男性なのか女性なのかが、さっぱりわからぬ人をみかけた。

 年齢は20代前半くらい――

 着ている服は、いかにも20代前半の男性が好みそうなスタイルで、女性らしい配慮は微塵も感じられぬ。
 が――
 やたらと小柄で、体つきに微妙な丸みが感じられた。

 ヒゲは見当たらず、髪も中途半端に長い。

 正面から顔をみればわかるかと思い、それとなく覗き込んだが――
 わからぬ。

 財布から小銭を取り出す仕草でわかるかと思ったが――
 わからぬ。

 その後、店を出るときに、至近距離で向かいあうチャンスにも恵まれたのが――
 それでも、わからぬ。

 目と目とが合ったときに、思わず、

 ――男ですか? 女ですか?

 と訊きたくなったが――
 もちろん、訊けるわけもない。

 もう一度、みかける日がくるといいのだが――

     *

 かえすがえすも不思議な体験であった。

 こういう体験こそが、小説のネタになる。

 そして――
 小説のネタにするのなら――
 答えは最後までわからぬほうがよい。

 男なのか、女なのか、答えを決めずに書き始める。