やりきれぬ結末である。
山口の高専生殺害事件のことだ。
報道によれば――
10日ほど前に、20歳の女子学生が殺された。高専学校の研究室内での犯行だった。
現場の状況などから、同級生の男子学生が犯人と目された。
が、事件発生直後から、行方をくらましていた。
県警による捜索が続けられていた。
そして、今日――
その男子学生が、山林で発見された。首を吊っていたという。
死体の鑑定結果は、犯行直後に自殺した可能性を示しているらしい。
男子学生の年齢が災いし、少年法の壁が初動捜査を制限したという。
これでは、殺された女子学生はもちろん、その遺族も、殺した男子学生の遺族も、たまったものではあるまい。
男子学生の胸裏に、いかなる闇があったかはわからぬ。
事件までは、とくに深刻なトラブルはなかったらしい。
もしかしたら、些細な契機が殺害事件へ発展したのかもしれぬ。
もし、そうであるならば――
殺された女子学生の遺族は、
――たった、それだけのことで!
と、殺した男子学生を憎むこともできた。
一方、殺した男子学生の遺族も、
――なんてバカなことを!
と、嗚咽をもらすこともできた。
現実は違う。
犯人と目される男子学生が自殺したことで、真相は藪の中となった。
遺族たちの行き場のない激情の嵐が、人知れず、吹き荒れるのみであろう。
何とも痛ましい。