秋篠宮妃が男児を御出産になったそうである。
今朝のことだという。
(やれやれ――)
というのが、正直なところだ。
皇室典範の論議も、これで新たな局面を迎える。少なくとも、拙速な改変は避けられそうだ。
女系皇位継承も容認すべきかどうか、ゆっくりと議論したらいい。
一つ気になったことがある。
今日は、TVを中心に朝から、このニュースで持ち切りだ。
どの放送局も、そろって特番扱いにしているようである。
違和感を覚えた。
ちょっと騒ぎすぎであろう。
*
違和感の根源は、この国の皇室の在り方による。
本来、皇室の在り方は、きわめて政治的であった。
太平洋戦争(大東亜戦争)後、様々な経緯から、皇室の存続が決定された。
そこに働いたのは、純粋に政治的な思惑である。
皇室が途絶すれば、この国の政情が乱れる、と判断された。
にもかかわらず――
皇室の存在自体は非政治的なものとして扱われる。
皇室の在り方は、きわめて政治的だが、その中身は、
――政治的たらざるべし
なのである。
ここに深刻なジレンマが潜んでいる。
僕は皇室の存続には賛成である。
例えば、この国が大統領制をしくところなどは想像もできぬ。
が、皇室は、この国の秩序維持のために必須なのである。政情を安定させるために必須なのだ。
皇室の方々に無二の忠誠を尽くすために必須なのではない。
民主主義という政治形式を遵守する以上、そこはハッキリとさせておくべきであろう。
皇室の方々とて、好んで皇室にあるのではあるまい。
この国の秩序維持に、あの方々にしかできぬ方法で尽力されるために、ある。
そうしたことを真剣に考慮すれば――
御出産の報道は、もう少し穏やかであるべきではないか。
皇室の方々に敬意を払うのであれば、なおのこと――
静かにしておいて差し上げるのが良いと思う。