マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

立場を同じくする者たちで徒党を組むばかりでは

 政治の本質とは、社会の利害調整です。

 よって、政治家が私ごとに絡めとられているようでは、まともな政治は期待できないでしょう。

 例えば――
 選挙で自分に投票する有権者たちの言い分だけをきき、そうでない有権者たちの言い分をきかないような政治家は――
 政治家として、社会全体から広く敬意が払われることはありません。

 ということは――
 政治家は、自分に投票する有権者たちと、そうでない有権者たちとの折り合いをつけていく宿命にあります。

 一方――
 同じことを有権者の視点でみるならば――
 有権者も、私ごとに絡めとられているようでは、まともな政治は期待できません。

 自分が投票する政治家たちの提案や説明ばかりに理解を示し、そうでない政治家たちの提案や説明には理解を示さないようでは――
 有権者の資格を疑われるでしょう。

 結局のところ――
 政治とは、自分とは相いれない立場の者たちをいかに受けいれていくかに、かかってくるのです。

 政治家なら、自分に投票しない有権者たちの利己をいかに汲みとるか――
 有権者なら、自分が投票しない政治家たちの猛進をいかに和らげるか――

 政治家も有権者も、立場を同じくする者たちで徒党を組むばかりでは、政治の本質的過程には踏み出せません。

    *

 環太平洋パートナーシップ協定(Trans-Pacific Partnership, TPP)をめぐる昨今の政情を報道でみるに――

 この政治課題については――
 いまだに本質的過程には踏み出せていないようです。