今週のはじめ頃――
自民党の2人の閣僚が、政治資金や選挙活動の不正を取り沙汰されて辞任に追い込まれました。
(またか……)
という感じがしています。
が――
今に始まったことではありません。
この国では、よくみられる政治風景です。
それを今さら悲観したり同情したり分析したり評価したりするつもりはないのですが――
何か釈然としないものが残ります。
それは、
(なんか本質的な問題が置き去りにされているのではないか)
という疑念です。
その疑念は、
――閣僚の職責とは関係のない理由で辞任しているようにみえる。
という点に関わります。
政治資金や選挙活動の不正は、閣僚の職責とは一見、関係がないようにみえますよね。
ですから――
「どうでもいい理由で、また2人の閣僚が辞任した」と公言する人も出ています。
本当に、“どうでもいい理由”なのでしょうか。
たしかに、政治資金や選挙活動の不正は、閣僚の職責と深い関係があるわけではありません。
が――
まったく関係がないわけでもありません。
その関係を丁寧に説明するならば、
1) 政治資金や選挙活動で不正を行う人は、一般的な政治活動でも不正を行う可能性が高い。
2) 政治活動とは、国内社会や国際社会における利益の分配や損害の分散である。
3) 政治活動で不正を行う政治家は、国内社会や国際社会における利益の分配や損害の分散を公正には行えない。
4) 国内社会や国際社会における利益の分配や損害の分散が公正に行われなければ、世の中の秩序が乱れる。
となりましょう。
1) 2) 3) あたりではピンとこなくても、4) までくれば、
――それは、たしかに大変だ。
と実感できるのではないでしょうか―― 「世の中の秩序が乱れる」というのは、具体的には、
――国内の治安が乱れたり、対外的な戦闘が始まったりすること
ですので――
気がかりなのは――
当の政治家や報道関係の人たちが、この 1) ~ 4) の関係を多少なりとも前提にしているのか、という点です。
まったく前提にしていないかのようなコメントを、ときに見聞きします――
「政治資金や選挙活動の不正は、けしからん。けしからんから、閣僚を辞めるのが当然である」といっているようにしか聞こえないコメントを――
そうではないと思うのです。