学校のイジメや職場の人間関係などによると思われる自殺の報道が、相次いでいる。
TV番組のキャスターが、
――絶対に死んではいけない。
と呼びかけたりもしている。
気持ちはわかる。
が――
逆効果かもしれぬ。
実は――
これ以上、自殺者を増やさない最も確実な方法は、自殺の報道それ自体を取りやめることかもしれぬのだ。
自殺は連鎖するという見方がある。
――あの人が自殺したのだから、今度は私も――
という心理が、自殺者には働くらしいのである。
近代以前なら、例えば、ある地域で自殺者が出ると、その近所では、さらに何人かが自殺する――というようなことが起こったらしい。
現代では、TVなどの影響力があって、自殺は全国規模で連鎖するといわれる。
そのことを、僕は10年ほど前のTVの報道で知った。
TV番組のキャスターが、
――だから、私たちは自殺の報道を極力、自粛します。
と、コメントを述べていた。
事実――
以後、自殺の報道が大々的になされることは、少なかったように思う。
が――
最近は、大々的に報道されている。
どうしたことか。
「自殺の連鎖」という概念に、どれくらいTV番組の制作者たちが気づいているか――
ちょっと気にかかる。