――最近の日本人は忙しい。難しい物語なんて売れないよ。
みたいな話をきいた。
(その通りかも――)
と思った。
たしかに、今の日本人は忙しい。
仕事に忙しいし、子育てに忙しいし、遊びに忙しいし、TVに忙しいし、ゲームに忙しいし、ネットに忙しい――
こんな人々を相手に、物語を売り込もうと思ったら――
「軽薄短小」路線でいくしかない――
そんな気にもなってくる。
「重厚長大」路線で描くのを好む僕にとっては、かなり気力が萎える状況だ。
最近は、そんな小説ばっかりを書いている。
が――
かくいう僕とて――
自分が物語の受け手に回るときは「軽薄短小」路線を好んでいる。
もう、どうしようもない。
――時代が、そういう流れになっている。
としか、いいようがない。
「重厚長大」路線に付き合うのは、骨が折れるのだ。
だから、つい「軽薄短小」路線に逃げてしまう。
覚悟を決めて、「重厚長大」路線に取り組むか――
それとも、徹底的に「軽薄短小」路線に逃げ込むか――
いや――
――「軽薄短小」の振りをしつつも、実は「重厚長大」――
というのが、理想か。