人は悩みを探しながら生きているのではないかと思うときがある。
一つの悩みが解決すると、また、すぐに別の悩みをみつけてくる。
そうやって、いつも、
――つらい、苦しい、大変だ、やる気がでない。
などといっている。
自分自身のことを振り返っても、そう思うし――
周りの人々の振る舞いをみても、そう思う。
以前は、そのように悩みを探しまわっているかのような生き方は、
(みっともない)
と思っていた。
が――
最近、考え方を変えた。
人は、そもそも悩みを探しながら生きているものなのではないか。
つまり――
悩むことが、人間の精神活動に不可欠なのではないか、ということである。
あまりにも救いようのない話で、かつ突拍子もない話である。
ちょっと説得力がない。
にもかかわらず――
何か、もっともらしい根拠を示すつもりはない。示したくても示せぬ。
悩むことで人間の精神活動に何らかの益をもたらすという理屈でもみつかれば良いのだが――
ちょっと簡単にはみつかりそうにもない。
まあ、いい。
根拠を示し、理屈づけても、たかが知れている。
とにかく――
人は終生、悩みながら過ごすようにできていると、僕は感じ始めた――そういうことである。
息を吸って、飯を食って、夜は寝て――
そうしないと生きていけぬように――
人は、悩みがなければ、生きてはいけぬ。
くよくよと悩む人をみかけると、ついイライラしたくなる。
自分の悩みが気になっていないときには、とくにそうだ。
が、
――人は、そもそも悩むようにできている。
と思えば、イライラすることはない。
人が息を吸って、飯を食って、夜は寝ているのをみて、とくに何かを感じることがないように――