月並みの表現だが――
一球の恐さを、しみじみと感じた。
野球のアジア・シリーズのことである。
日本、韓国、台湾、中国の球界ナンバーワン球団が、アジア王者の座をかけ、東京ドームに激突する(中国のみ選抜チームによる参加――)
今日は初日――
日本代表の北海道日本ハム・ファイターズが、韓国代表のサムスン・ライオンズと対戦した。
スコアは7-1でファイターズの勝利――思ったよりも大差となった。
選抜チームでなく、いわゆるクラブチーム同士の対戦となると、まだ歴史に勝る日本に一日の長があるようだ。
勝負の分かれ目は、6回表――
一死満塁の場面で――
ファイターズはベテランの田中幸雄選手を打席に送る。
一方、ライオンズは中継ぎエースのクォン・オジュン投手をマウンドに送った。
結果は押し出し四球――
途中、ストライク・ボールの微妙な判定が、打者に有利に働いた。
TVでみる限り、ミスジャッジとされても仕方のない判定であった。
これを期に――
クォン・オジュン投手が打ち込まれ、ライオンズは4失点――
守り重視のチーム・カラーに、跳ね返す余力はなかった。
短期決戦では、一球の判定が勝負を左右する。
国際大会なら、なおさらだ。
球審は台湾の人が務めていたという。
公平なジャッジだったと信じたいが――はたして、どうか。
台湾代表としては、ライオンズに負けてもらったほうが、その後を闘いやすい。
もし、田中幸雄選手の押し出し四球がなかったら――
試合結果は逆になっていたかもしれぬ。
サッカーでは、
――ミスジャッジも含めてサッカーだ。
という言われ方をする。
野球も同じだと痛感した。
とくに国際大会は、そうである。
試合終了後――
ライオンズのソン・ドンヨル監督が虚ろな目でグラウンドを眺めた。
押し出し四球のことを考えていたかもしれぬ。
が――
その後すぐに笑顔を取り戻し、ファイターズの選手たちと試合後の握手を交わしていた姿が印象的だった。
真剣勝負の場だからこそ――
国際親善も深みを帯びる。
中途半端な親善試合より数段、深い。
そのとき――
ファイターズのマスコットの着ぐるみが、ライオンズの選手たちに握手を求める姿がTVに映った。
国際大会の価値や先方の感情を考えれば、自粛するべきであった。