最近、人様の小説を読むのに苦労する。
とくにプロの書いた小説で苦労する。
どうにも読むのが辛い。
これが、アマチュアの書いたものだと、
――よし、勉強だ!
という気持ちになれるからよい。
それなりの緊張感が生まれる。
緊張感が生まれるので――
どんな小説でも、たいていは面白く読める。
が、プロの書いたものとなると、サッパリである。
――よし、勉強だ!
という気持ちに、なれぬ。
なぜかは、よくわからぬ。
大学に入った頃から、ずっとそうである。
たぶん――
そういう気持ちで読んでいき――
その後、その小説に引きずられていくのが、恐いのだ。
とはいえ――
僕も、かれこれ10年以上、小説を書いているので(お遊びも含めれば20年以上)――
それなりに自分のスタイルは固まっている。
容易なことでは引きずられぬ。
実際、引きずられていない。
稀に、
(うおー、このプロ、すげーよ!)
と思うことはあるにしても――
見事なくらいに引きずられていない。むしろ、反対方向に行ったりしている。
僕は結構、天の邪鬼である。
だから――
少なくとも僕の場合は、もう少し人様の作品を――それも、プロの作品を――初めから丹念に読めばよいのだが――
どうにも、いけない。
そんな時間があったら、
(自分の小説を書きたい)
と思ってしまう。
*
ところが、突然、
――じゃあ、書けよ!
って、いわれても――
なかなか書けないのだ、これが――
生きていくためには、色々と、やらねばならぬことがあって――
それをやっているうちに、
――小説を書きたい。
という気持ちが薄れてしまう。
一寸の光陰、軽んずべからず――
わかってるつもりでは、あるのだけれど――