風邪をひくと喘息(ぜんそく)の発作が出る。
子供の頃、僕は小児喘息を患っていた。
毎年、秋が深まると、ゼロゼロといっていた。
二十歳をすぎても、数年に一度は、発作がおきていた。
小児喘息が、ふつうの喘息に移行したわけである。
以前は数年に一度だったものが、最近は毎年のように起こる。
風邪をひくと、必ずといってよいほど、起こる。
なぜか、と考えた。
どうも風邪薬が原因らしい。
風邪薬の副作用である。
風邪薬に含まれる成分が喘息の発作を引き起こすことは、よく知られている。
が、必ず引き起こすわけではないので、
(まあ、いいか)
と思って飲んでいた。
風邪薬は対症療法なので、飲まなくても風邪は治る。
が、
――飲めない。
というのはショックだ。
以前は、ふつうに飲めていたものが飲めない――
何ともいえぬ喪失感である。