僕は、いかなる戦争も否定されるべきだと思っている。
――平和ボケ
と罵られても構わぬ。
それがボケだというなら、「ボケ」でもよい。
*
戦争には2つの闘いがある。
1つは敵と味方との闘い――
もう1つは――
戦争を望む者と望まぬ者との闘いである。
戦争は、たいてい富や名誉を守るために起こされる。
よって――
戦争を望まぬということは――
一見、富を失い、名誉を損なうことだと思われがちだ。
実際は違う。
たしかに、戦争を望まぬことによって、いくらかの持ち金が奪われ、多少は体面に傷がつくかもしれぬ。
が、それは一時的な不利益にすぎぬ。
戦争の回避は、長い目でみれば、必ずや富や名誉を守る。
なぜなら――
戦争で失われるはずの多くの物資や人命が、戦争の回避で失われずに済むのだから――
*
65年前の今日――
日本は未曾有の大戦に踏み切った。
この決断は間違いだったと、僕は思う。
目先の富や名誉を守るあまり、実に多くの物資や人命を失った。
その失い方が、日本の富や名誉に深刻な打撃を与えたことは、歴史が語るところである。
日本は敵との闘いに敗れたのではない。
戦争を望む者たちとの闘いに敗れた。