(世の中を楽に生きてる人など、いないんだろうな)
と思っている。
楽に生きているようにみえる人は、たくさんいるが――
それは、あくまで見かけ上のことにすぎないようだ。
皆、ぎりぎりのところで生きている――
生きているようにみえる。
今日、死ぬか――
明日、死ぬか――
そんな問いかけが、決して大袈裟にきこえない程度には――
翻(ひるがえ)って――
自分のことを考えてみる。
僕は、ずいぶん楽に生きている。
少なくとも、そんなような気がする。
もちろん――
一つひとつの問題を、片っ端から詳(つまび)らかにしていけば、
(オレも結構ツラく生きてるじゃないか)
と思えないこともないのだが――
まあ――
フェアにみてみたら――
多分、楽に生きているほうだと思う。
どういうことか。
自分のツラいところには慣れてしまっているのだ。
もはや、そんなにツラいとは、感じていない。
ところが――
他人のツラいところには慣れていない。
だから、とてつもなくツラいことのように感じてしまう。
ときどき――
自分のツラいところに、慣れていない人がいる。
本当に――
いつまで経っても慣れられないようなのだ。
そういう人生が、一番、苦しいことだろう。
自分のツラいところに慣れる――
もっといえば、鈍感になる――
それが、人生を楽に生きる秘訣の一つに違いない。