――人間は皆いつか死ぬのに、どうして生きなければならないのだろう?
という声を、よく耳にする。
なかには、
――どうせ死ぬんなら、もっとイイカゲンに生きたっていいじゃん。
とか、
――もう何もかもメンドーだし……。マジ、死にたいんだけど……。
とかいう声もきく。
そういう声に向かって――
僕らは、何ができるだろうか。
猫なで声で、
――真面目に生きようよ。
とか、熱血漢風に、
――死ぬなんて考えるな!
とかいっても――
多くの場合は、無意味である。
生に後ろ向きの人の心には、容易に届かない。
届く場合もあるから、ややこしいのだが――
まあ、それは、ともかく……。
そういう人に向かって、生の享受を促したかったら――
自分が生の享受を実践してみせるしかない。
精一杯に楽しく生きてみせるしかない。
――オレ、今、こんなに楽しいんだけど――
などと、わざわざ声高に語らなくてもわかるように――
心から楽しんで生きてみせるしかない。
妥協は禁物だ。
独り善がりの回避は、生の追求への躊躇とは別物である。