――下手な考え、休むに似たり。
などというが――
本当だ。
先ほどから――
ずっと、あることを考えているのだが――
一向に結論が出ない。
(いいかげんにしてくれよ)
と、自分を罵倒したくなるのだが――
罵倒したところで、妙案が浮かぶわけでもない。
しかも――
実に瑣末的なことで悩んでいて――
それが、また腹立たしい。
これが、もう少し価値のある悩みであれば――例えば、文芸の造形の悩みなどであれば――まだ良いのである。
実際は、実に下らない日常の雑事についての悩みなので――
まったくもって、救いようがない。
――休むに似たり。
という。
「似たり」というからには、「似て非なり」ということであろう。
つまり、「下手な考え」が「休む」に通じることは、決してありえない。
むしろ、頭を疲れさせる。狭いグラウンドを何十周も走っているかのような徒労感がある。
ところで――
学生時代に、
――創造的であるためには、いつも同じことを考えていなければならない。
といわれた。
本当だろうか?
危険な警句である。
「下手な考え」に妄想的創造性を付与しかねない。
自分の悩みが、創造の前段階なのか――
それとも、ただの「下手な考え」なのか――
そこを見極めることこそ難しい。
もっとも――
今の僕の場合は「ただの下手な考え」に決まっているのだが――