男に、
――オレ、彼女の元夫なんだ。
と自慢されるような女性は――
カッコいい。
問答無用で「佳(よ)い女」だ。
男女のことは、人知を越えた叡智が差配する。
例えば――
男からみて、
――あ、素敵だな。
とか、
――お、話が合うな。
とか感じられる女性に出会う確率は――
実は、そんなに低くはない。
が――
だからといって、
――じゃあ、一緒になろうかな。
と思うかどうかは、全く別次元の問題である。
男女のことの大半は、実はタイミングの問題である。
男が女性に出会っても、双方が、ほぼ同時に、
――さあ、一緒になろう!
と感じなければ、まとまる話もまとまらない。
たとえ、どんなに相性がよく、相愛の関係になりえたにせよ――
タイミングが少しでも狂っていれば、早晩、必ず破局する。
そのリスクを承知の上で――
それでも、なお、
――さあ、一緒になろう!
と、男が思うとき――
そう思われる女性は、ほぼ間違いなく、「佳い女」である。
そういう女性を、僕は何人か知っている。
僕自身、過去に、そういう女性に手を出して、何度か痛い目にあっている。
明らかにタイミングが狂っているのに、無理して手を出したりするから、そうなるのだろう。
だから――
ここ数年は、なるべく手を出さないようにしているのだが――
それは、さておき――
そうやって手を出し、破局が訪れたあと――
男は呟くのである。
――オレは、彼女の元夫なんだ。
と――
だから――
そういわれる女性は、ほぼ間違いなく「佳い女」である。
少なくとも――
「男にとっての佳い女」である。