僕は、
――酒席の後の気分が沈んでいく感じ――
というのが、どうにも受け入れ難く――
それを理由に、ときに酒席の約束をスッポカすこともある。
どうにもイヤなのである。
飲み会が終わって、家に帰った後で、
(少しハシャぎすぎたな)
とか、
(あのとき、ちょっと余計なことをいったな)
とか、
(あの人、今頃、根に持ってんじゃないかな)
とか――
色々にクヨクヨと考えてしまうのが、イヤなのである。
もちろん――
気分が沈んでいくから、クヨクヨと考えてしまうのか――
クヨクヨと考えてしまうから、気分が沈んでいくのか――
その辺の判断は難しいところだが――
少なくとも僕は、
――酒の力で、気分を不自然に浮き上がらせるから、後になって、その反動で気分が沈み始め、その結果、クヨクヨと考え始めるのだ。
と思っている。
だから、酒席が嫌いなのである。
たぶん、僕は、
――酒席での無礼講
という慣例を、あまり信じていないのだ。
信じる気になれない。
「無礼講」が通用するか否かは、相手との信頼関係に依っている。
相手との信頼関係が盤石なら、別に酒席でなくても、無礼講は許される。
(「無礼講」を、わざわざ「酒席」に絡ませなくても、いいんじゃないか)
と、僕は思う。