高校の3年間というのは――
振り返ってみれば――
あっという間の出来事であった。
高校だけではない。
中学の3年間も、そうである。
大学の4年間も、そうであるに違いない。
僕は6年制の学部に進んだので、大学は6年間であったのだが――
それでも、
――あっという間
の感覚が残っている。
小学校の6年間も、そうである。
学校というところは、そこに通っている間は、そういう生活が永遠に続くように思われるものだが――
いったん外に出てしまえば――
一瞬で通り過ぎるところである。
この前の1年生が、あっという間に卒業し、いなくなっていく――
それが学校というところだ。
そういう気持ちになって――
例えば、近所の小学校を、塀の外から覗き込んでみていると――
何とも貴重な場所に思えてくる。
少年たちや少女たちの生活ぶりが――
小川のせせらぎの水しぶきように、中空に舞い上がって、弾けて流れ去っていく――
そんな錯覚に襲われる。