人は一人ではいきられない。
だからこそ――
知己を繋げ、交友を結び、愛を交わし、家庭を築き、子を成して――
そうやって、寄り添って生きていく。
本当に、どうしようもなく手垢のついた言い回しではあるが――
人生の現実的側面の幾つかを目にすれば――
そのように噛み締めざるをえないではないか。
――人は一人では生きられない。
と――
が――
(でもね)
などとも思う。
(本当は一人なんだよね)
と――
人というものは――
この世に一人で生まれ出て――
あの世に一人で旅立っていく。
一人で生まれ、一人で死んで――
そうやって逆説の只中を泳ぎ渡るのが、人の生涯の真実だ。
人は一人では生きられない。
それなのに――
一人で生きていかざるをえない。
人は、なんと愛おしい存在であろう。