部屋の壁に掛けていた時計が動かなくなったので――
新しいものを買ってきた。
昨夕のことである。
今回、壊れた時計は、白いプラスチックに囲まれた至極単純なデザインで――
その単純さが気に入って、13年前に買ってきたものである。
新たに買い求めた時計は、木枠に囲まれた割と落ち着いたデザインで――
その落ち着きが気に入って、何となく買ってきたものである。
双方とも1000円未満の商品だ。
インテリアにカネをかける気が、どうしてもしなかった。
その内因は、たぶん僕の精神に見出すことができようが――
そんな分析に興味はない。
今の僕の部屋は、僕一人のためのものである。
そんな部屋の調度にカネをかけるのは、バカげている。
どうせ僕一人のためにカネをかけるなら――
もっと他のことに、かけてみたい。
いや――
現に、かけている。
(何を今さら――)
という感じである。