マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

幸せなのであろうか

 最近、妙にベルトが緩くなってきたので――
 よく使う3本のベルトのうち、2本を切って短くした。

 で――
 ここ数日、夜に酒を飲む機会が多くなって――

 今日はベルトが妙にキツい。

 調子に乗って喜び勇んでスパスパとベルトを切ってしまった自分が、憎らしい。

 そういえば――
 スパスパとベルトを切っていた頃というのは、よく体を動かしていたのだが――
 そのわりには、食べる量は少なくて済んでいた。

 どうりでベルトが緩むはずである。

 ベルトが緩むということは――
 簡単にいえば、痩せたということである。

     *

 痩せるということは――
 本来、ヒトの体にとっては、よくないことであった。

 ヒトの生命史の大半は、飢餓との闘いの歴史である。
 そうした闘いの中では、痩せるということは、苦戦を意味していた。

 が――
 現代日本に生まれた僕たちは、痩せてベルトが緩むのをみると――
 喜び勇んでスパスパとベルトを切っていく。

 ということであれば――

 長いヒトの生命史の中では――
 現代日本という一幕は極度に異端である、といわざるをえない。

 そういう一幕に居合わせた僕たちは、果たして、幸せなのであろうか――
 それとも、不幸せなのであろうか――

 短く切ってしまったベルトを、恨めしく眺めながら、
(これは、ちょっと簡単には結論を出せない問題だな)
 と――
 最近、強く思うようになってきた。