最近、僕の行きつけの店が、次々と閉店していっている。
(あ、ここ、気に入ってたのに……)
とか、
(ええ、なんで潰れちゃったの?)
とかいった感じである。
書店にせよ、飲食店にせよ、レンタルショップにせよ――
日頃、自分が利用していた店が消えてなくなるのは、寂しいものだ。
喪失感は、後になって、ジワジワと効いてくる。
街を歩いていて、何かの拍子に、
(あ、そうだ。あそこに行こ!)
と思いついてから、
(そういえば、あそこは潰れたんだった)
と思い出すのも、気が滅入る。
店だから、まだ、よいが――
もし、これが人ならば――
たまらない。
例えば――
何かの拍子に訪れた街で、
(あ、そうだ。あの人に会いに行こ)
と思いついてから、
(そういえば、あの人は亡くなったんだった)
と思い出すのは、相当なものであろう。
店も人も、いつかは、消えてなくなるものに違いはないが――
それは容易には受け入れられない。
マインドでは理解できても、ハートでは納得できない。
店だから、まだ、よいが――
と述べた。
今の僕が店で経験していることは――
早晩、人でも経験することになる。
自分が老いれば、自分と交遊のある人々も老いる。
老いれば人は、そのうちに、いなくなる。
マインドでは理解できる。
が、ハートでは納得できない。