自分の生活基盤が揺さぶられるような体験は、貴重でしょうね。
生活基盤というのは、衣食住や資金はもちろんのこと――
これまでの自分が常識だと思っていたこととか――
言語などのコミュニケーション・ツールも含めてです。
そういった生活基盤を揺さぶられることで、
(あ、オレって、これから生きていけんのかな?)
とか、
(アタシ、この先、いったいどうしよう?)
とかいって不安に陥る体験が――
逆に、生きる力を引きだすように思うのです。
衣食住や資金の有用性や希少性、あるいは、自分の常識が通用するということのありがたさ、あるいは、コミュニケーション・ツールを活用できる喜び――
そういったものへの理解や納得が、前向きに生きる気力を漲らせていくのだと思います。
でも――
自分で自分の生活基盤を揺るがせようと意図することは難しい。
人間、どうしても安楽な方向を望みますからね。
安楽への道を断ち、苦渋の道を選択できる人は、強い――
それを「向こう見ず」と評することはできますが――
前向きに生きるためには、ある程度の「向こう見ず」が必要なのでしょう。
もちろん、「向こう見ず」な選択をしたばかりに、ごく稀に命を落とす結末もありうるのですが――
あいにくと、そういうことも含めての人生なのですよね、おそらくは――