ロシアとウクライナとの戦争について――
もし、ロシアの人たちが、自分たちの幸せだけでなく、ウクライナの人たちの幸せも求めていたならば――ウクライナへ軍隊を向かわせたりはしなかったはずであり――
もし、ウクライナの人たちが、自分たちの幸せだけでなく、ロシアの人たちの幸せも求めていたならば――ロシアの軍隊が向かってくることは、なかったかもしれない――
と、きのう、のべました。
そして――
もし、そうなっていれば、戦争にはならなかったはずである――
と――
……
……
このように、のべると――
――ロシアとウクライナと、いったい、どっちが正しくて、どっちが悪いんだろう?
という疑問(ぎもん)が生まれるかもしれませんね。
この疑問に答えるのは――
実は、とても難しいのです。
戦争の問題をよくわかっている大人たちの間でも、意見は分かれています。
多くの人たちは、
――ロシアが悪い。
といっています。
――どんな理由があるにせよ、外国へ軍隊を送って、むりやり自分たちに従(したが)わせようするのは、人として、おかしい。
という考えです。
これに対し、
――ウクライナが悪い。
といっている人もいます。
――ロシアとウクライナとは話し合っていて、その話しあいをウクライナが先に投げ出したから、ロシアは怒(おこ)ったのだ。
という考えです。
あるいは、
――ロシアもウクライナも悪い。「戦争」という名の殺(ころ)しあいをさける努力が、どちらにも足りなかった。
という考えをする人もいます。
ぼくの考えは――
3つめの、
――ロシアもウクライナも悪い。
に近いといえます。
ただし――
まったく同じではありません。
ぼくは、
――ロシアもウクライナも悪いけれど、ロシアのほうがウクライナよりもずっと悪い。
と考えています。
――ウクライナへ軍隊を向かわせたという意味で、ロシアは「第一に悪い」といえるけれども、軍隊を向かわせる理由をロシアに与(あた)えてしまったという意味で、ウクライナも「まったく悪くない」とはいえない。
ということです。
『10 歳の頃の貴方へ――』