誰かと一緒にいようとすると、その誰かと傷つけ合ってしまう――
共生と自立とは両立しがたい、という話だ。
ヤマアラシのジレンマを思って頂きたい。
寒さに震える2匹のヤマアラシが身を寄せ合おうとすると、互いの針で傷つけ合ってしまう――そういうことである。
――自立と共生
というのは、よく掲げられるスローガンである。
が――
これら二語を併記することの意味は、深く考えたい。
過度の共生は、自立せんと欲する個の尊厳を傷つける。
だから――
まずは自立があって、次いで共生があると、僕は考えている――
決して、その逆ではない、と――
自立ということは――
結局は、孤独に克つということだ。
ヤマアラシの喩えでいうならば――
冬空の寒さに耐え抜く知恵と勇気とを兼ね備える、ということである。
孤独に一人で耐えられるなら――
二人でも耐えられる。
そして、二人で耐える喜びや幸せを噛み締めることができる。
二人になっても、孤独は残るのだ。
誰かと全てを共有したり交換したりするなどは、ありえない。
それでも、二人のほうが一人よりも、幾らかは楽である。
そのことを実感するためには――
一人のときの孤独の実態を、よく知っておく必要がある。
共生の努力を積み重ねる前に、まず自立の何たるかを十分に心得ておかねばならない。