マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

夜の世界の魅惑

 休みの日になると、急に夜型人間になっていく。

 次の日の朝がゆっくりできると思うと――
 もうダメである。

 全然、眠くならない。
 つい夜更かしをしてしまう。

 静かな夜が、僕は好きらしい。

 闇の静けさが好きである。
 闇というのは、単に光がないということではない。

 皆が寝静まってた感覚――家も近所も街全体も――
 動くものがない――
 そういう「闇」である。

 ――このまま永遠に夜であればいい。

 と思うこともある。

     *

 幼かった頃には――
 早寝を躾(しつ)けられていた。

 夜は子供の自分が踏み込むのを拒まれる未知の世界であった。

 その反動か。
 夜の世界が堪(たま)らなく魅惑的に思えた。

 それは大人になっても変わらない。
 僕が物語の幻想を紡ぐのは、通常、夜の世界に浸っているときである。

 最近では夜更かしに寛容な親も増えたようだが――
 子供に早寝を躾けるのは悪くない。

 幼い時分に夜の世界への憧れを植え付けられる。

 もしかしたら――
 幼くして夜更かしを許された子供は――
 夜の世界の魅惑には、終生、気付かないかもしれない。

 それは、おそらく――
 なにがしかの損失である。