人の気持ちを推し量るには想像力が大切だといわれる。
間違いではないと思うが――
それだけではダメであろう。
例えば、いつも他人から指示されるほうが楽だと感じている人が、よかれと思って誰かに指示を出すことなどは――
容易にトラブルへと発展しうる。
皆が皆、指示されるほうを好ましく思っているわけではないからだ。
人の好みは、それぞれである。
もう本当にどうしようもなく、人それぞれである。
それが、人というものだ。
*
人の気持ちがわかるためには――
人のことがわかっていなければならない。
人とは、こういうものであって、ああいうものではない、ということを――
十分に認識しておかねばならない。
そのためには、多くの人々と親しく交わらねばならない。
自分の殻に閉じこもっていては、人のことはわからない。
が――
多くの人々と親しく交わるには、どうしたらよいであろう。
結局――
人のことに関心を持たねば、どうにもならぬのではないか。
ここに一種の循環がある。
すなわち――
人のことに関心を持てば、多くの人々と親しく交わることができ――
さらに、人のことが深くわかっていく――
そういう循環である。
こうした循環に身を置くには、どうしたらいいであろう。
それは、もう――
持って生まれた性質に帰着させるしかないのではないか。
そういう循環を好む性質の有無が、全てではないか。
そういう性質がなければ、どうしようもない――
本人の努力で解決できるような問題ではない――
そう思う。