マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

大騒ぎになるには

 昨日の夜に仙台市内でタクシーに乗ったのですよ。

「いま定禅寺通りが通行止めなんですよ」
 と、運転手さん――

 状況をきくと、
「爆発物を処理してるんだそうです」
 と仰るのです。

「え? 爆発物?」
「かれこれ2、3時間は大騒ぎしてますよ」
「ホントに爆発物ですか?」
「どぉかねえ。私は『実は違いました』で終わるんじゃないかと思ってんだけども――」

 真相は、翌日の報道で知りました。
 やはり、

 ――実は違いました。

 で終わったんです(笑
 ただの工具箱だったそうですよ。

 機動隊が駆け付け、近くの喫茶店の客が避難させられ、爆発物処理班が処理したものは――
 スパナ入りのジュラルミン・ケースだったという……。(笑

 現場は、僕もよく行くところです。
 客が避難させられたという喫茶店も、よく利用しています。

 騒ぎに巻き込まれていた可能性も十分にあったわけで――

 これは、僕の印象ですが――
 ホントの危機というものは、大騒ぎになる前に突然やってくるのではないでしょうか。

 ――危ない!

 と思った瞬間には、もう巻き込まれている――というのが、ホントの危機のような気がするのです。

 7年くらい前に、大きな事故をやりまして、自家用車を潰したことがあったのですが――
 やはり、大騒ぎになったんだそうです。

 近くのガソリン・スタンドの店員さんが、
「いやあ、驚いたよ。何しろ、大きな音がしたものだからね~」
 と笑っておられたのが印象です。

 僕は、大騒ぎになったことも、全然わからなかったのですね。
「危ない!」と思う間もなく、

 ――え? 危ないの!?

 と思った瞬間には、もう歩道に乗り上げていました。
 警察の人に事故の状況を知らされて、ようやく「大騒ぎ」を理解したという――

 ある程度、余裕がないと、大騒ぎにならないと思うのです。

 僕の勝手な憶測ですが――
 もし、昨日のジュラルミン・ケースがホントに爆発物であったなら――
 大騒ぎになる前に爆発していたと思います。

 あるいは、爆発して大騒ぎになっていた、というか――