僕が小説を書きたいわけは――
とくにありません――
というと、怒られそうですが……(笑
でも――
本当のことです。
書きたいから書いているのであって、なぜ書きたいのかということは、よくわかりません。
強いていえば、
――ウソをつきたいから――
でしょうか。
最初に小説らしきものを書いたのは小学校低学年の頃だったと記憶しておりますが――
ウソのお話を考える習性は、物心がついたときからありました。
毎晩、寝床に入って、昨晩のお話の続きや焼き直しを練っていたりしました。
皆、そういうことをやっているものだと、思っていました。
だから、高校のときに、人から、
――小説なんて、そうは書けないよ。
といわれたときには、ビックリしたのですね。
――日頃、考えている話を、ただ書いてみるだけなんだ。
と応えたら、
――だって、日頃、考えている話なんて、そうはないし――
と返されました。
そのときから、自分の特異な習性を意識するようになりました。
この自分の習性を殺さないようするならば、僕は小説を書き続けるしかないのです。
だから、僕は小説を書いています。
もし、将来、小説を書きたくなくなったとしたら――
それは、そうした自分の習性を殺したくなったときでしょう。
小説を書いていると、色々とイヤな思いもしますから――
そういう日が来ないとは限らない、とは思っています。