マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

性欲が愛情に高まることはない

 たしか中学生だった頃に、保健体育の教科書で、

 ――性欲を愛情にまで高める。

 という記述をみつけ、
(ホントかな)
 と訝んだ記憶があります。

 今なら、

 ――冗談いうな!

 であります(笑

 おそらく――
 性欲は恋に基づき、愛情は愛に基づいていますから、

 ――性欲と愛情とは相反する動機である。

 というのが真理に近いとみるべきでしょう。

 性欲というのは、ハッキリいってしまえば、

 ――攻撃意志

 です。
 少なくとも、男が女に抱く性欲は「雄による雌への攻撃意志」以外の何物でもありません。
 良心的な男なら皆が認めるところでしょう。
 よって、男の性欲が剥き出しになった時に、その行動が、どこまでも反社会的に激化するのは、至極当然の理であります。

 そういう性欲を巧く制御する意志が、愛情です。
 愛情というのは、少なくとも男にとっては、

 ――防御意志

 といってよいでしょう。
「防御」というのは「女性の心身を防御する」という意味です。

 つまり、愛情とは、より厳密にいうならば、

 ――本来の攻撃対象を防御する意志

 です。

 よって――
 くだんの保健体育の教科書は――
 安易に「性欲を愛情にまで高める」などと記述したりせずに――

 ――愛情を育むことで性欲を抑える。

 と記述するべきだったのです。

 いやしくも中学生に読ませる教科書で、お気楽なキレイごとなんて、絶対にいってはいけませよ。

「性欲を愛情にまで高める」では、キレイごとにすぎるばかりか――
 不合理の極みなのです。

 これから銀行に押し入ろうとしている強盗団を引き止め、人道を説き、自分の金庫の警備員として雇おうとするようなものです。